詩集「セカンドムーヴメント」

緋熊熊五郎の詩作ペンネーム、緋熊加微由の詩集

風になる


「風になる」

北国だというのにこの数日暖かくて

雪が随分溶けたと思ったら急に寒さが戻った

その日僕らはリフトでスキー場の山の斜面を登った

山は上の方だけ頭を雲の中に突っ込み

周囲一面霧に包まれホワイトアウトした

風と共に細かな雪が降っては舞う

僕らは思い思いにスキー板を履きボードに乗る

滑り出した途端フロストしたアイスバーン

板をガリガリと鳴らしエッジを撥ね付ける

小刻みにターンしてもぐんぐんスピードは上がり

僕らは粉雪と共に風になった

(opus050)

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