詩集「セカンドムーヴメント」

緋熊熊五郎の詩作ペンネーム、緋熊加微由の詩集


厳しく辛い冬が過ぎ
暖かくのどかな春うらら
雲ひとつとてない蒼天の
満開の桜の樹の下で
僕たちはやっと巡り会う
敷き詰められた菜の花の上を
そよ風に花びらがちらちらと舞い
心も千々に乱れて揺れる
そう君が…君だったのか
僕の心は何も見えていなかった
桜の樹は何も語らず
ただ笑って枝を揺らし
風吹く度に花びらを散らすだけ
静寂の中にただ僕たちが在り
互いの心を見つめ合った
蒼天と桜と菜の花に包まれて
(opus054)
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