詩集「セカンドムーヴメント」

緋熊熊五郎の詩作ペンネーム、緋熊加微由の詩集

2018-09-01から1ヶ月間の記事一覧

サラマンダー(火竜)

「サラマンダー(火竜)」サラマンダー、汝、火を噴くトカゲよ世が乱れ、人の心が寒ければ汝、世に姿を現して咆吼せよそしてその炎によって人の心を暖めよそなたにとって地球が広ければ我、汝に大きな羽根を与えん青空を羽ばたき徘徊して全ての人の子の心を燃…

ノーム

「ノーム」ノーム、白い小さな水の粒ノーム、僕の隠れた心のようにノーム、不定形でつかみどころのないノーム、風に漂い流れて行く.ノーム、あの娘とつながっているノーム、彼女の涙を見たであろうかノーム、それとも秘密を教えてくれないかノーム、語りかけ…

ゆりかご

「ゆりかご」地球は生命のゆりかご太陽から程よい距離で水が水のまま液体でいられる青い海が広がり天然の浄化槽になるカンブリアの爆発で三葉虫をそして甲冑魚、古代ワニ(プリオノスクス)を産み海から陸に這い上がって恐竜が闊歩した彼等はとうに旅立ってし…

旅人

「旅人」人はいつも旅をしている緑なす森林を眺めに山に登っては風に揺れる可憐な山野草に出会う好奇心を宥めるために本を読んでは想像もしなかった新たな知識を手に入れる気分を転換するために見知らぬ街を歩いては心温まる優しい人情に触れる冒険心を満た…

触媒

「触媒」君は何も変わらずに僕を変えた 生き方を変えた自転車のギアをチェンジするように宇宙船をスイングバイさせるように退屈だった人生に新たな波を加え波は力強くリズミカルに推進力を産む僕は君に何もしてあげられないけれど君も生き方を見直してみてほ…

野うさぎ

「野うさぎ」白うさぎを見かけないなと思っていたら白いのは雪が積もる冬だけで春夏秋は茶色であった走ってもとても追いつけずに草むらから林の中に消えていったもう四半期もすればまた冬が来て草むらも林も全てが雪で覆い尽くされる君の毛並みも白くふさふ…

シロクマの夢

「シロクマの夢」果てしなき大地の片隅で潔い夏の青空が終わりを告げ目まぐるしく変わる秋雲の姿も消えてシロクマの頬を伝う涙が凍る頃心は揺れに揺れる洞窟で居心地のよい惰眠を貪ろうか極地で食べたことのないオーロラを捕らえようか荒野で見たことのない…

タイムマシンの夢

「タイムマシンの夢」何もない真空が物質と反物質でぎっしりとひしめき合い膨大なエネルギーによって対生成する物質と反物質を選り分けて反物質は磁力の檻に入れておく物質はそのままこねこねと固めてブラックホールを作る事象の地平線(イベントホライズン)…

ブラインドゲーム

「ブラインドゲーム」僕はどこから来てどこに行くのか生まれてから何回この問いを重ねただろう数千回? 数万回?僕は何のために生きているのだろう意味のない人生なんてありはしないのに何年経っても答えは得られない人生はブラインドゲーム闇の中を手探りで走…

ひも

「ひも」台風が来たので慌てて帰る途中 道のど真ん中にヒモが落ちていた ああ、風で飛ばされたんだなぁと思っていたら ニョロニョロと道を空けてくれた(opus069).写真は2018/9/4、近所で撮影したものです。