詩集「セカンドムーヴメント」

緋熊熊五郎の詩作ペンネーム、緋熊加微由の詩集


「秋」

君の心に生まれた悲しみは

冷たくなった秋風に流そう

持ち続けても得るものがないから

白い雲が浮かんだあの青空に

走っていくのを見届けよう

地球が回っている限り

誰の上にも必ず夜明けは来るから

君の心の置き場所にも訪れるように

僕が回転灯篭のように回すから

悲しみは秋風にあげよう

木々の葉が色付くように

木々が涙の代わりに散らすように

(opus088)

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#優しい言の葉 「夜明け」「走」「得」「悲」

#甘い言の葉「心の置き場所」

「灯篭」


引き金

086 引き金


「引き金」

今日も君は引き金を引く…

あれから順番を待とうとせず

全ての陽は一度に出ようとする

競馬でもないのに一度に出てしまったら

地上は丸焦げになってしまう

昔は弓矢で九個の陽を撃ち落としていたが

今はライフル銃だね

今日も君は引き金を引く…

そろそろ陽もLED電球にすれば良いのに…

(opus086)

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#優しい言の葉 「引き金」


進む


「進む」

僕は一歩前に進む

時計の針も前に進む

でも君は影も形もない

僕は更に一歩前に進む

時計の針も更に前に進む

やはり君の影も形も見当たらない

君の姿を見かけたと思って

ここまで進んで来たけれど

どこで迷ってしまったのだろう

人生は迷い道

あっちに行ったりこっちに行ったり

その度に僕は開けなかった扉のことを思い出す

(opus085)

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#優しい言の葉 「扉」「進」


引力


「引力」

君の何に惹かれるのだろう

明るさ、とびっきりの元気の良さ

人懐っこいところ、面倒見の良いところ

話が面白くて飽きないところ

立ち振る舞いが危なっかしくて放って置けないところ

美人でもグラマーでもないけれど

笑顔がとても素敵で心が暖められるところ

目に見えない引力に手繰られているように

僕の心は吸い寄せられる

ねぇ、君の心は何を隠し持っているんだい

(opus084)


「扉」

初めての扉の前に立つとわくわくする

開けるとどうなっているのか

どんな人がいるのか、それとも

眩しい光景が広がっているのか

風は甘い香りを運んでいるのか

色めく花びらが揺れているのか

いつかそんな世界に出会う気がして

今日も扉のノブを回す

(opus083)

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写真は、2018/10/7撮影、近所のキバナコスモスです!

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#優しい言の葉

#甘い言の葉 色めく花びら

ひとり

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「ひとり」

ひとり目指す山の頂を踏みしめれば

頭上には照りつける太陽と

鳴く鳥さえいない青い空

遥か彼方には雲上に突き出した

他の頂がいくつも見える

足下の雲海の隙間から岩肌とせめぎ合う

森林限界より下の樹林帯が見え隠れする

風が吹き荒ぶ中、握り飯を頬張れば

霧が全て晴れてさらなる山道と頂が目に入る

思わずニセピークとひとり言が漏れる

再びひとり目指す山の頂に向かって

また一歩ずつ歩む

(opus82)

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写真は、今朝寝坊してしまったので、2018/8/11撮影、

日本百名山岩手県早池峰山の頂上付近です!

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#優しい言の葉 「ひとり」


サラマンダー(六肢)

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「サラマンダー(六肢)」

汝の六本の手足は何のためにある

汝の大きな羽根は何のためにある

汝の赤い口は何のためにある

食べるためだけではあるまい

行けサラマンダー、虚空へと

宙(そら)に満ち、光の礎となれ

(opus081)

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(補足)小説サラマンダーの戦闘シーンはまだ先なのですが、使おうと思っている詩の方が先にできちゃいました!

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写真は2018/8/19撮影、ミヤマクワガタくんとノコギリクワガタくんです!虫好きの人にあげちゃいました!


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「夢」

夢見るだけならただの夢

何度見ても単なる夢

踏み出そう前へ、勇気を持って

一歩一歩踏みしめて行けば

やがて道になり現実になる

山の頂にだって立つことができる

気持ち次第で夢は実現する

夢は叶えるもの

だからもう夢と呼ぶのはやめよう

(opus080)

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写真は、 手持ち素材がなかったので、

ネットのフリー素材パクタソさんからです! 



セイレーン

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「セイレーン」

緑なす美しい草原

そよ風が花々をそっと揺らし、芳しい香りを

そして軽やかな明るい歌声を運んでくる

可愛らしいその声の持ち主は

俺を見てにっと笑い、反対方向に駆けていく…

(opus079)

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エブリスタで連載中の、

「果てしなき宇宙の片隅で 序章 サラマンダー」冒頭より

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写真は、 手持ち素材がなかったので、

ネットのフリー素材パクタソさんからです!


サラマンダー(火竜)

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「サラマンダー(火竜)」

サラマンダー、汝、火を噴くトカゲよ

世が乱れ、人の心が寒ければ

汝、世に姿を現して咆吼せよ

そしてその炎によって人の心を暖めよ

そなたにとって地球が広ければ

我、汝に大きな羽根を与えん

青空を羽ばたき徘徊して

全ての人の子の心を燃やせ

暗闇の中に取り残されることのないように

地球を汝の炎のプラズマで覆え!

(opus078)

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写真は2018/9/18、ちょっと小さかったかな、近所で撮影したトカゲです。残念ながらガス欠のようで、火は噴きません。


ノーム

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「ノーム」

ノーム、白い小さな水の粒

ノーム、僕の隠れた心のように

ノーム、不定形でつかみどころのない

ノーム、風に漂い流れて行く

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ノーム、あの娘とつながっている

ノーム、彼女の涙を見たであろうか

ノーム、それとも秘密を教えてくれないか

ノーム、語りかけても答えない

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ノーム、僕たちを厳しく優しく包み込む

ノーム、そして全てを覆い隠す

ノーム、寒ければ固体となって

ノーム、陽にキラキラと輝く

(opus077)

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写真は2018/9/5撮影、安達太良山麓の桜の木です!


ゆりかご

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「ゆりかご」

地球は生命のゆりかご

太陽から程よい距離で

水が水のまま液体でいられる

青い海が広がり天然の浄化槽になる

カンブリアの爆発で三葉虫

そして甲冑魚、古代ワニ(プリオノスクス)を産み

海から陸に這い上がって恐竜が闊歩した

彼等はとうに旅立ってしまったが

人類がそのあとに続いている

我々はこの居心地の良いゆりかごを出て

陸から星へと這い上がることができるのだろうか

そしてその後、ゆりかごは何を産み出すのだろうか

この星は常に夢を紡ぎ続けている

(opus076)

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写真は手持ちがなかったので、

ネットのフリー素材パクタソさんから、

徳之島です!


旅人

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「旅人」

人はいつも旅をしている

緑なす森林を眺めに山に登っては

風に揺れる可憐な山野草に出会う

好奇心を宥めるために本を読んでは

想像もしなかった新たな知識を手に入れる

気分を転換するために見知らぬ街を歩いては

心温まる優しい人情に触れる

冒険心を満たすために映画を観ては

主人公の活躍に一喜一憂して涙を流す

疲れきったときは心の羽根を広げて

空想の世界をなお旅している

まだ過去から現在にしか生きられないけれど

人は永遠の旅人

(opus075)

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写真は2018/8/18撮影、月山(日本百名山)の頂上付近の月山神社に続く道です。


触媒

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「触媒」

君は何も変わらずに

僕を変えた 生き方を変えた

自転車のギアをチェンジするように

宇宙船をスイングバイさせるように

退屈だった人生に新たな波を加え

波は力強くリズミカルに推進力を産む

僕は君に何もしてあげられないけれど

君も生き方を見直してみてほしい

ありがとう

(opus074)

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写真は、 手持ち素材がなかったので、

ネットのフリー素材パクタソさんから、フローライト(蛍石)です!