詩集「セカンドムーヴメント」

緋熊熊五郎の詩作ペンネーム、緋熊加微由の詩集


「雪」

今宵、あなたの心に一滴の涙を

どうして素直になれなかったのだろう

あの時、意地を張ってしまったのだろう

駆け引き、それとも意地悪

重ねれば重ねるほど距離ができて

それでも必ず理解してもらえると

頑なに信じ切っていた

そんな夢のようなことがあるわけないよね

君の薬指に光るものを見つけて

愚かな自分に初めて後悔した

月は同情して涙を流してくれたが

闇の中、天窓から音もなく舞い降りたのは

凍てついた六角板状の結晶

私の心に触れては溶ける

今宵、あなたの心に一滴の涙を

(opus108)

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#詩人の本懐 「天窓」