詩集「セカンドムーヴメント」

緋熊熊五郎の詩作ペンネーム、緋熊加微由の詩集

洋館の娘



「洋館の娘」

森の奥の昼なお暗い沼沢の

畔りに建つ洋館に佇む娘

この世のものとは思えなく美しいけれど

顔には何の表情も浮かべていない

体から何の感情も現していない

燃えたぎるマグマで

心の中が溢れているだろうに

しんとした風景画のように時が止まっている

美術館の絵画の前に立っているように

僕は林の陰から覗きこんだまま

目を離せないでいる

娘がいつ動くのかと

(opus026)

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