詩集「セカンドムーヴメント」

緋熊熊五郎の詩作ペンネーム、緋熊加微由の詩集

102 滝


「滝」

時の流れる音が闇に響く

滝を落ちる奔流のように

音の飛沫を撒き散らしながら

時が空間を下っていく

何故そんなに急ぐ

流れが激しければ溺れる者も多い

岸には骸が累々と積み上がるだろう

この先に何が待ち構えているのか

シンギュラリティによって

時はさらに加速され滝となって落ちる

生き残る者は翅を持つ者か

それとも鰭を持つ者か

滝に着くまでに変わらなければならない

(opus102)

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#緋熊熊五郎の心

# #ポエム #詩書きさんと繋がりたい


朧月

101 朧月


「朧月」

とても些細なことで心がすれ違って

お互いに素直になれなくて

意地を張り続けてしまった

君の言葉を聞けなくなって早半年

僕の心に残る消せない想い

こんなに愛しく切ないのなら

何故もっと優しくできなかったのだろう

頬を伝う涙は朧月だけが知っている

(opus101)

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#優しい言の葉 「消」「違」「聞」


秋桜

099 秋桜


秋桜

風に揺れる秋桜の花

ベタだけどそんなイメージの人でした

清潔すぎて近寄れない

もちろん摘み取ることなんてできない

それなのに心を乱すのです

揺れるたびに茎が折れそうで

目が離せなくなるのです

(opus099)

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#優しい言の葉 「乱」



隙間


「隙間」

心に隙間ができたなら

大きく息を吸って膨らませよう

一人でできないほど疲れ切ったら

遠慮しないで仲間に声を上げよう

みんな息を吹き込むのを

喜んで手伝ってくれるはずさ

心の隙間が消失したら

高らかに心の詩を歌おう

みんなあなたの笑顔を待っているから

(opus098)

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#優しい言の葉 「顔」

#仄かに色付く言の葉 「心の隙間を埋める方法」

#詩人の本懐 「消失」


変化

097 変化


「変化」

万物は流転する

季節は移ろい

春の新緑、夏の繁茂

秋の紅葉、冬の落葉

一つとして留まることを知らない

私も変化する

力を蓄え、壁を壊し

身体を鍛え、山を越える

考え方さえも変わっていく

そして悲しいのは君の心変わり

幾度となく泣き濡れた夜

ただ変わらないのは歌う心

(opus097)

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#優しい言の葉 「変」

#仄かに色付く言の葉 「泣き濡れた夜」


誇り


「誇り」

日々言葉を紡いでは

時の流れの中で歌う

優しい言の葉、甘い言の葉、

仄かな言の葉、そして

時には心を撃ち抜き

涙するものもあるけれど

様々な感性が寄り集まり

多様性を形作る

いつもありがとう

あなたたちは私の誇り

(opus096)

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#優しい言の葉 「誇」

#詩人の本懐 「感性」



「秋」

秋、日本中が色付く頃

赤、橙、黄緑、黄と彩り鮮やかに

木々が葉を風に散らしていく

君は衿元を両手で合わせて

優しく微笑んでいる

僕は君の心が何色に染まったのか知りたくて

そんな君から目を離せないでいる

(opus095)

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#優しい言の葉 「彩」

#緋熊熊五郎の心



「毒」

僕らはその毒なしに数十分と生きられない

何故その方法を選んだのか

エネルギー効率が上がったのか

時にはそれによって身体までも傷つけられる

危険な賭けなのか

今日もその毒を吸っては

二酸化炭素を吐いている

(opus094)

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#優しい言の葉 「毒」


花園


「花園」

?月光に晒されたその裸身は?

青白く光り輝き

そして仄かに揺れている

うつつか幻か

切なげに洩れるその声は

一緒に行こうと誘っている

折しもオリオン座から星が降っている

揺らぎの中に垣間見える

虹色の秘密の花園

川には幾艘もの渡し舟が

ゆっくり滑るように行き来している

ああ俺は一服毒を盛られたのかな

(opus093)

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#優しい言の葉 「毒」


青空


「青空」

青空はどこまでも青く

ずっとずーっと繋がっている

君の見上げる空と同じ

僕も見上げて君の幸せを願うよ

世界の果てには虹色に輝く空があるかな

赤、橙、黄緑、緑、青、紺、紫

壁中に窓を散りばめて

硝子の向こうにそんな景色を探したい

今は別れ別れになっている君と

いつか一緒に行ってみたいな

(opus092)

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#優しい言の葉 「別」


溜息


「溜息」

日が沈み夜の帳が下りる頃

雲間から月が周囲を照らす

夜のしじまに溶ける音色

心を穏やかに解き放って

今日の息災を振り返り

明日の平安を瞬く星に願う

そして君の心と溶けあうのは

嗚呼いつになるのだろうか

溜息が次から次に心から溢れて

いつの間にか空間を浸す

やがて次の朝日が昇って

全ての溜息を溶かすだろう

(opus091)

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#優しい言の葉 「溶」


捨てて


毎日毎日お疲れさま

心も擦り減っているかもしれないけれど

ここにおいで、ぬるま湯で温めてあげよう

心が元の嵩まで戻ったら

暖かい空気をいっぱい吹き込んであげよう

心がふわふわと浮かぶようになったら

思い切って悲しみは捨てて

ふたりで歓びを抱きしめあおう

(opus090)

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#優しい言の葉 「捨」


ひとつ


「ひとつ」

地球はひとつ、でももうひとつ欲しい

汚れたり壊れたりしたら、取り替えて欲しい

地球をもうひとつくださいな

太陽の反対側に置いてくださいな

でも行ってみたら、自分ももうひとりいたら怖いな

それでも十羽一絡げで、地球一山いくらで売っていないかな

(opus089)

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#優しい言の葉 「ひとつ」