詩集「セカンドムーヴメント」

緋熊熊五郎の詩作ペンネーム、緋熊加微由の詩集

「秋」君の心に生まれた悲しみは冷たくなった秋風に流そう持ち続けても得るものがないから白い雲が浮かんだあの青空に走っていくのを見届けよう地球が回っている限り誰の上にも必ず夜明けは来るから君の心の置き場所にも訪れるように僕が回転灯篭のように回…

眠気

「眠気」秋、木々がその顔色を変えて色付く頃ドングリをたらふく食べてくちくなる暖かい巣穴で夜長の眠気に抗し切れず身体を膨らませて、春が来るのを待つ(opus087).#優しい言の葉 「眠気」

引き金

086 引き金「引き金」今日も君は引き金を引く…あれから順番を待とうとせず全ての陽は一度に出ようとする競馬でもないのに一度に出てしまったら地上は丸焦げになってしまう昔は弓矢で九個の陽を撃ち落としていたが今はライフル銃だね今日も君は引き金を引く……

進む

「進む」僕は一歩前に進む時計の針も前に進むでも君は影も形もない僕は更に一歩前に進む時計の針も更に前に進むやはり君の影も形も見当たらない君の姿を見かけたと思ってここまで進んで来たけれどどこで迷ってしまったのだろう人生は迷い道あっちに行ったり…

引力

「引力」君の何に惹かれるのだろう明るさ、とびっきりの元気の良さ人懐っこいところ、面倒見の良いところ話が面白くて飽きないところ立ち振る舞いが危なっかしくて放って置けないところ美人でもグラマーでもないけれど笑顔がとても素敵で心が暖められるとこ…

「扉」初めての扉の前に立つとわくわくする開けるとどうなっているのかどんな人がいるのか、それとも眩しい光景が広がっているのか風は甘い香りを運んでいるのか色めく花びらが揺れているのかいつかそんな世界に出会う気がして今日も扉のノブを回す(opus083)…

ひとり

「ひとり」ひとり目指す山の頂を踏みしめれば頭上には照りつける太陽と鳴く鳥さえいない青い空遥か彼方には雲上に突き出した他の頂がいくつも見える足下の雲海の隙間から岩肌とせめぎ合う森林限界より下の樹林帯が見え隠れする風が吹き荒ぶ中、握り飯を頬張…

サラマンダー(六肢)

「サラマンダー(六肢)」汝の六本の手足は何のためにある汝の大きな羽根は何のためにある汝の赤い口は何のためにある食べるためだけではあるまい行けサラマンダー、虚空へと宙(そら)に満ち、光の礎となれ(opus081).(補足)小説サラマンダーの戦闘シーンはまだ…

「夢」夢見るだけならただの夢何度見ても単なる夢踏み出そう前へ、勇気を持って一歩一歩踏みしめて行けばやがて道になり現実になる山の頂にだって立つことができる気持ち次第で夢は実現する夢は叶えるものだからもう夢と呼ぶのはやめよう(opus080).写真は、 …

セイレーン

「セイレーン」緑なす美しい草原そよ風が花々をそっと揺らし、芳しい香りをそして軽やかな明るい歌声を運んでくる可愛らしいその声の持ち主は俺を見てにっと笑い、反対方向に駆けていく…(opus079). エブリスタで連載中の、 「果てしなき宇宙の片隅で 序章 サ…

サラマンダー(火竜)

「サラマンダー(火竜)」サラマンダー、汝、火を噴くトカゲよ世が乱れ、人の心が寒ければ汝、世に姿を現して咆吼せよそしてその炎によって人の心を暖めよそなたにとって地球が広ければ我、汝に大きな羽根を与えん青空を羽ばたき徘徊して全ての人の子の心を燃…

ノーム

「ノーム」ノーム、白い小さな水の粒ノーム、僕の隠れた心のようにノーム、不定形でつかみどころのないノーム、風に漂い流れて行く.ノーム、あの娘とつながっているノーム、彼女の涙を見たであろうかノーム、それとも秘密を教えてくれないかノーム、語りかけ…

ゆりかご

「ゆりかご」地球は生命のゆりかご太陽から程よい距離で水が水のまま液体でいられる青い海が広がり天然の浄化槽になるカンブリアの爆発で三葉虫をそして甲冑魚、古代ワニ(プリオノスクス)を産み海から陸に這い上がって恐竜が闊歩した彼等はとうに旅立ってし…

旅人

「旅人」人はいつも旅をしている緑なす森林を眺めに山に登っては風に揺れる可憐な山野草に出会う好奇心を宥めるために本を読んでは想像もしなかった新たな知識を手に入れる気分を転換するために見知らぬ街を歩いては心温まる優しい人情に触れる冒険心を満た…

触媒

「触媒」君は何も変わらずに僕を変えた 生き方を変えた自転車のギアをチェンジするように宇宙船をスイングバイさせるように退屈だった人生に新たな波を加え波は力強くリズミカルに推進力を産む僕は君に何もしてあげられないけれど君も生き方を見直してみてほ…

野うさぎ

「野うさぎ」白うさぎを見かけないなと思っていたら白いのは雪が積もる冬だけで春夏秋は茶色であった走ってもとても追いつけずに草むらから林の中に消えていったもう四半期もすればまた冬が来て草むらも林も全てが雪で覆い尽くされる君の毛並みも白くふさふ…

シロクマの夢

「シロクマの夢」果てしなき大地の片隅で潔い夏の青空が終わりを告げ目まぐるしく変わる秋雲の姿も消えてシロクマの頬を伝う涙が凍る頃心は揺れに揺れる洞窟で居心地のよい惰眠を貪ろうか極地で食べたことのないオーロラを捕らえようか荒野で見たことのない…

タイムマシンの夢

「タイムマシンの夢」何もない真空が物質と反物質でぎっしりとひしめき合い膨大なエネルギーによって対生成する物質と反物質を選り分けて反物質は磁力の檻に入れておく物質はそのままこねこねと固めてブラックホールを作る事象の地平線(イベントホライズン)…

ブラインドゲーム

「ブラインドゲーム」僕はどこから来てどこに行くのか生まれてから何回この問いを重ねただろう数千回? 数万回?僕は何のために生きているのだろう意味のない人生なんてありはしないのに何年経っても答えは得られない人生はブラインドゲーム闇の中を手探りで走…

ひも

「ひも」台風が来たので慌てて帰る途中 道のど真ん中にヒモが落ちていた ああ、風で飛ばされたんだなぁと思っていたら ニョロニョロと道を空けてくれた(opus069).写真は2018/9/4、近所で撮影したものです。

山小屋

「山小屋」煙草を吸おうと八合目避難小屋を一歩出ると激しく風が吹き荒び、なけなしの体温を一気に奪い去る午後七時、岩手山、標高1,770m闇の帳が落ち、見えるはずの満天の星も雲に遮られている真夏だというのに寒さで身体が震え歯はガチガチ鳴り、煙草を咥…

「蛙」蛙よ蛙よ、井の中の蛙さん大海を目指して下さいないや既に人生という大海の真っ只中です泳ぎ切った時、貴方は蛙などではなく青龍であったことに気がつくでしょう自身のメタモルフォーゼ能力を卑下しないで下さいね蛙よ蛙よ、いや青龍よ青龍よ大海を泳…

落し物

「落し物」どこに置き忘れてしまったのだろう僕の心落としてしまったのかなぁねぇ、僕の心を見ませんでしたか小さいけれど弾力があっていろんな色を散りばめた彩り鮮やかなんですけど(opus066).写真は、 手持ち素材がなかったので、ネットのフリー素材パクタ…

「山」麓から登山道を歩く真っ直ぐであればきつく、曲がりくねっていれば長い岩石混じりの粘土の上を一歩ずつ踏みしめていく樹林帯を抜けるまで風もなく蒸し暑い吹き出す大粒の汗もだんだん塩気を失っていく展望が開けないまま時間が過ぎいくそして問う何故…

アイスモナカ

「アイスモナカ」梅雨が明けぬというのに暑い昼間から星が気絶して落ちてくる野原はその死骸で満ち溢れたというボブの乙女も髪を肩の手前で切りプリンアイスモナカを頬張るさあ皆で歌おう!アイスモナカLOVE アイスモナカLOVE アイスモナカLOVE(opus064).謝…

微笑の女神

「微笑の女神」貴女はいつも微笑んでいる人々が病める時も健やかな時も人々が諍っている時も睦じい時も全く表情を変えずに微笑んだままそれは絶え間のない努力の結果なのかそれとも裡なる心の果てしなき葛藤の果てに辿り着いた境地なのかやがてその微笑は人…

ポエトリー・カフェ

「ポエトリー・カフェ」会社の出勤前と退勤後に必ず立ち寄るポエトリー・カフェ香り高い珈琲と絵の上手な店主がいて掛け合いが漫才のような明るい常連客で賑わっている看板メニューは言の葉砂糖をシロップに漬けた甘い甘いものから鷹の爪をラー油に漬けた辛…

タイムライン

「タイムライン」君よ、なぜ心を凍らせるのか木々は葉を広げて陽光を食べ鳥はさえずり、羽ばたいては虫をついばむ北半球は今、まさに初夏を迎え生命の歓びに沸きかえっているというのに冷たく無表情な瞳には映すものとて何もないさぁ、行こう母なる陽光の下…

神の子

「神の子」我等皆、全智全能の神の子神々しくも光輝く魂の所有者友の心が傷つけば己が心も痛め馳せ参じては優しい言葉を紡ぎ出す恋人が喜べば己が心も幸せで満ち二人笑顔で見つめ合ってうれしさを分かつ(opus060)

旋頭歌 登山

旋頭歌「登山」梅雨なのに天気がいいぞトロトロ登山.あと少し龍雲登る夏の青空.写真は2018/6/24撮影、安達太良山乳首山(無加工)です!